とこなめ窯 築窯技術者 板山の山本雅弘氏を訪ねる

神谷定子

6月30日、とこなべの窯や煙突にこだわりをもつ「つちのこ」ならばと会員の藤井ゆりこさんに案内され、板山の山本雅弘氏のお宅へ伺いました。杉江恵子会長、河合謙吉副会長、窯元である松本政夫さん、村田小蝶さんに私もお供をさせて頂きました。
山本さんは親の代から、とこなべの窯築さんで一番ぴっくりしたことは窯の設計図がないということでした。


焚口の木型


とろ舟とコテのいろいろ


焚口の木型に煉瓦を乗せた写真


窯築きの諸道具

◎「頭の中に叩き込んであるから設計図はいらん」と、注文を受けて、これだけの窯をとすぐ頭の中で計算し、その窯の大きさで焚き口も変ってくる。焚き口と入れ口の木のゲージを作り、甲の枠型を作る。
◎耐火煉瓦は30番が並で、32,34,36と耐火度の強いのは焚き口に使い、内壁は並の耐火煉瓦、外壁は普通煉瓦と組合せ、入れ口を丸太で支え煉瓦の薄いのと厚いので合せながら作ってゆく。
◎煉瓦のつなぎの目地は木節と山土を練って使い、煙突には石灰を交ぜる。戦後はセメントも交ぜるようになった。
◎床下の煙道は、半分はメクラ(吸い込みがない)で奥の方に本煙道があり、風を吸い込むようになっている。煙道から床下を掃除する時には、熱が残っているうちにするので熱いから下駄ばきで入り、掃除をする。
◎煙突は土管窯で、上の穴は2尺5寸、長さは50尺から60尺、一番上の蛇腹(カザリ)の部分は煉瓦が薄くなっているので壊れやすいとか。そして上にいくほど1尺で5分細くするので、煙突の内側は1丈で5寸細くなる。煙突を作る時には丸太で3尺位づつ足場を作り煙突の長さに組立て、作業する。
◎伊勢湾台風以後、煙突のバンドを下まで付けるようになり、六角煙突は風圧をそらすので多くなった。
◎常滑の業者は、窯を築くとき、子孫末代までのものをと思って築いて来た。
◎杉江さんが保存するにはどうしたら良いか、の質問に「残すには、アングルをきちっとしなければいけない。又、40尺から50尺の高さから一丈ぐらい短くしてもそんなに分からないから短くすれば良いと思う」 また、村田さんが「煙突の下から天が見たい」との質問に「根元の煉瓦を半間ぐらい四角に取り除き枠を作り、下に段々をつければ煙突から天を仰ぎ見ることが出来る」との事。
◎また、煙突一本に対して、窯2基も作られたと言い、一度に両方の窯を焚くことは出来ないが片方の煙道を止めて焚くことが出来るという。それについて藤井さんが、多屋のヤママル、ヤマフサさんが一本の煙突で両方の窯を替わる替わる焚いていたと言われ、これが子供の頃見た、二基一立ではないかと証明されたような気がして安心した。
◎韓国にも築窯の技術指導に10年位前から2回行かれたそうで、その時の窯入口を丸太で支えている写真も拝見した。
◎窯元である松本さんや旧窯屋さんの村田さんの専門的な質問に次々答えられる言葉に、父子二代に渡り、そして今も現役である山本さんの穏やかながら信念を持つお話ぶりに時を忘れてお聞きしました。
トンネル窯など築いて居られお忙しい中、貴重なお話をありがとうこざいました。心より感謝しつつ帰途につきました。