本美三狐の句碑

◆所在地 常滑市市場町四-六四 正法寺境内
◆大きさ 高さ94p 幅61p
◆建立年月日 昭和三十六年十二月

●文字
餅花や窓に真白き鈴鹿山 三狐
この句は昭和三十四年一月四日の毎日新聞、選者山口青邨先生の特選に入る。
選評
茶の間に餅花がさんさんと垂れている。窓には雪をかぶった鈴鹿山が白く見えるすがすがしい句である。(新年詠草)

●由来
句碑建立は釣月を始め二十五名により冨田うしほ先生も来られ除幕式が行われた。字は稲垣釣月が書かれた。
作者三狐は本名本美三郎といわれ、明治三十四年九月十六日、半田白山神社の神主本美家の三男として生まれ、三才の時麻疹にかかり失明する。十二才にて修業に出、二十才にて独立按摩師となる。
当時常滑に赤井志貴子が新聞店をしておられ、志貴子は冨田うしほ先生の娘さんであったので、治療に来られた御縁でうしほ先生とお逢いする。三狐が四十七、八才頃の事。
それから三狐始め、稲垣釣月、渡辺純治、片岡静観その他二十五名の方が、うしほ先生に俳句を教えて戴くことになる。洞雲寺、正法寺、渡辺純治宅をお借りし、うしほ先生をお招きして句会をひらき、若竹の俳句を教わった。
三狐は失明の為、ラジオをよく聴き、娘さんの愛子に情景を聴いては作句されたそうで、他にも数多く特選に入られている。
三狐は正法寺の御住職が兵隊で行かれ、無住であった戦中の一時期ここに住んで居られたそうで、その後奥條へ越されたが、お稲荷さんに因んで狐の字をつけ俳号とされた。