はじめに

常滑焼は今から約900年前の平安時代末期にその源を発しますが、鎌倉時代から南北朝にわたる約300年には、常滑を中心に知多全域で、ツボ・カメ・山茶碗といった日常雑器を中心とした生産が行われました。
その後室町時代に今日の常滑焼の基盤が出来あがり、江戸時代後半にいたって隆盛期を迎えます。
名工の造った名器も数多く存在するなかで名もない多くの陶工たちが、その時代の民衆の生活に即応して日頃の暮らしに必要とされる焼き物を造っています。
それらの製品は時代の推移とともに移り変わり、現在は造られなくなったものが数多く見受けられます。
今後、急速に変化する政治・経済体制・常滑の街および私達の生活様式の変化とともに、昔の陶工たちが命がけで造った製品が消え去ろうとしています。
それらを保存するためにここに一部とりまとめて、未来の常滑の人々に昔のなつかしき陶器を伝えるべくこの冊子をつくった次第です。

目次

尾張藩煙硝壷
陶製米搗臼
大水蓮鉢・手洗い鉢
火鉢・朱泥火鉢・手あぷり火鉢
耐酸瓶・焼酎瓶・漬物瓶・酒瓶
朱泥龍巻き貿易製品
塗り花瓶・茶道用風炉・水さし
手あぷり・薬研
貯蔵壷・水のみ器
タコ壷・錘・掛花器
インク壷・ウイスキー瓶・腰かけ便器